〈典型問題〉死亡保険金の非課税金額と相続人ごとの課税額
生命保険金の非課税金額と相続人ごとの課税額
〈典型問題〉死亡保険金の非課税金額と相続人ごとの課税額
本問は、法定相続人の人数をもとに死亡保険金の非課税金額を求め、特定の相続人に適用される非課税額と課税対象額を算出する問題である。
妻 | 長男 | 長女 | 二女 | 長男の妻 | |
---|---|---|---|---|---|
相続人 | ○ | ○ | ○ | ○ | × |
税法上の法定相続人 としてのカウント |
1人 | 1人 | 1人 | 1人 | - |
死亡保険金の 非課税限度額 |
4人 × 500万円 = 2,000万円 | - | |||
死亡保険金の受取額 | ① 3,000万円 | ② 4,000万円 | ③ 1,500万円 | ④ 1,500万円 | ⑤ 1,000万円 |
相続人の受取額 の合計 |
10,000万円 | - | |||
受取額の按分割合 | 30/100 | 40/100 | 15/100 | 15/100 | - |
非課税額 | 600万円 | 800万円 | 300万円 | 300万円 | 0円 |
課税対象額 | 2,400万円 | 3,200万円 | 1,200万円 | 1,200万円 | 1,000万円 |
死亡退職金の受取額 5,000万円(うち 妻が 5,000万円、妻の按分割合は 5,000/5,000 )
死亡退職金の非課税限度額 2,000万円
妻の課税対象額 5,000万円 - 2,000万円 × (5,000/5,000) = 3,000万円
妻の課税対象額の合計 2,400万円 + 3,000万円 = 5,400万円
親族関係図より、法定相続人は妻、長男、長女、二女である。
法定相続人のうち、相続を放棄する者はいない。
相続人のうち、妻、長男、長女、二女の全員が税法上の法定相続人としてカウントされる。
以上より、税法上の法定相続人は 4人 である。
死亡保険金の非課税金額は法定相続人1人につき500万円であるから、4人 × 500万円 = 2,000万円 となる。
生命保険契約①の死亡保険金は、妻が受取人となる。
生命保険契約②の死亡保険金は、長男が受取人となる。
生命保険契約③の死亡保険金は、長女が受取人となる。
生命保険契約④の死亡保険金は、二女が受取人となる。
以上より、各人の死亡保険金受取額は、次のとおりとなる。
生命保険契約⑤の死亡保険金は、受取人が相続人ではないため、死亡保険金の非課税金額の計算には関わらない。
生命保険契約⑥は保険金支払事由が発生しておらず、「生命保険契約に関する権利」として妻の相続財産となる。
生命保険契約⑦の死亡保険金は相続財産ではなく、妻の一時所得として所得税の課税対象となる。
生命保険契約⑧の死亡保険金は、相続財産ではないが、このなかから死亡退職金が支払われるため、相続税の課税対象となる(後述)。
相続人の受取額の合計は、 3,000万円 + 4,000万円 + 1,500万円 + 1,500万円 = 10,000万円 である。
合計額に対する各人の受取額の割合は、次のとおりとなる。
この割合にしたがって、各人に適用される死亡保険金の非課税額を按分する。
各人の受取額から非課税額を差し引いて、課税対象額を計算する。
会社の規定に基づき、死亡退職金が妻に支給される。
相続人が受け取った死亡退職金については、生命保険金とは別に非課税金額が適用される。
以上より、妻が受け取った死亡退職金の課税対象額は、
5,000万円 - 2,000万円 × (5/5) = 3,000万円 … (2)
したがって、妻の相続税の課税対象額は、 (1) + (2) = 5,400万円 となる。