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過去問演習

CFP®資格審査試験 2024年度第2回
リスクと保険
問題22

〈典型問題〉死亡保険金の非課税金額と相続人ごとの課税額

本問は、法定相続人の人数をもとに死亡保険金の非課税金額を求め、特定の相続人に適用される非課税額と課税対象額を算出する問題である。

算出手順表

死亡保険金の非課税金額と相続人ごとの課税額の算出
長男 二男 三男
相続人
税法上の法定相続人
としてのカウント
1人 1人 1人 1人
死亡保険金の
非課税限度額
4人 × 500万円 = 2,000万円
死亡保険金の受取額 ① 3,000万円 ② 5,000万円 ③ 4,000万円 0円
相続人の受取額
の合計
12,000万円
受取額の按分割合 3/12 5/12 4/12 0
非課税額 500万円 833万円 666万円
課税対象額 2,500万円 4,167万円 3,334万円 0円

死亡退職金の受取額 9,000万円(うち 妻が 9,000万円、妻の按分割合は 9,000/9,000 )

死亡退職金の非課税限度額 2,000万円

妻の課税対象額 9,000万円 - 2,000万円 × (9,000/9,000) = 7,000万円

妻の課税対象額の合計 2,500万円 + 7,000万円 = 9,500万円

解説

〔1〕法定相続人と死亡保険金受取人の確認

親族関係図より、法定相続人は妻、長男、二男、三男である。
法定相続人のうち、相続を放棄する者はいない。

〔2〕死亡保険金の非課税限度額の計算

相続人のうち、妻、長男、二男、三男の全員が税法上の法定相続人としてカウントされる。
以上より、税法上の法定相続人は 4人 である。

死亡保険金の非課税金額は法定相続人1人につき500万円であるから、4人 × 500万円 = 2,000万円 となる。

〔3〕死亡保険金の受取額の計算

生命保険契約①の死亡保険金は、妻が受取人となる。

生命保険契約②の死亡保険金は、長男が受取人となる。

生命保険契約③の死亡保険金は、二男が受取人となる。

以上より、各人の死亡保険金受取額は、次のとおりとなる。

  • 3,000万円
  • 長男 5,000万円
  • 二男 4,000万円
  • 三男 0円

生命保険契約④の死亡保険金は、相続財産ではないが、このなかから死亡退職金が支払われるため、相続税の課税対象となる(後述)。

〔4〕非課税額の按分

相続人の受取額の合計は、 3,000万円 + 5,000万円 + 4,000万円 = 12,000万円 である。

合計額に対する各人の受取額の割合は、次のとおりとなる。

  • 12分の3
  • 長男 12分の5
  • 二男 12分の4
  • 三男 0

この割合にしたがって、各人に適用される死亡保険金の非課税額を按分する。

  • 2,000万円 × (3/12) = 500万円
  • 長男 2,000万円 × (5/12) = 833.3…万円 → 万円未満を切り捨てて、833万円
  • 二男 2,000万円 × (4/12) = 666.6…万円 → 万円未満を切り捨てて、666万円
  • 三男 0円

〔5〕死亡保険金の課税対象額の計算

各人の受取額から非課税額を差し引いて、課税対象額を計算する。

  • 3,000万円 - 500万円 = 2,500万円 … (1)
  • 長男 5,000万円 - 833万円 = 4,167万円
  • 二男 4,000万円 - 666万円 = 3,334万円
  • 三男 0円

〔6〕死亡退職金の課税対象額の計算

会社の規定に基づき、死亡退職金が妻に支給される。

相続人が受け取った死亡退職金については、生命保険金とは別に非課税金額が適用される。

  • 妻の受取額は、 9,000万円
  • 非課税金額は、生命保険金の場合と同様の計算により、2,000万円
  • 妻の受取額の割合は 9分の9

以上より、妻が受け取った死亡退職金の課税対象額は、
 9,000万円 - 2,000万円 × (9/9) = 7,000万円 … (2)

〔7〕課税対象額の合計

したがって、妻の相続税の課税対象額は、 (1) + (2) = 9,500万円 となる。

正解 3