〈典型問題〉宅地の相続税評価
宅地の相続税評価(自用地・貸家建付地)
〈典型問題〉宅地の相続税評価
本問は、正面と裏面に路線がある宅地について、自用地および貸家建付地として併用している場合の、宅地の相続税評価額を計算する問題である。
北側路線 | 南側路線 | |
---|---|---|
路線価 | 400千円/m2 | 300千円/m2 |
奥行 | 20m | 20m |
奥行 価格補正率 |
1.00 | 1.00 |
補正額 | 400千円/m2 | 300千円/m2 |
判定 | 正面路線 | 裏面路線 |
二方路線 影響加算率 |
- | 0.05 |
二方路線 影響加算額 |
- | 15千円/m2 |
1m2あたり の評価額 |
415千円/m2 | |
地積 | 500m2 | |
自用地評価額 | 207,500千円 |
自用地部分 | 貸家建付地部分 | |
---|---|---|
自用地評価額 | 207,500千円 | |
利用割合 | 100/1000 = 0.1 | 900/1000 = 0.9 |
按分額 | 20,750千円 | 186,750千円 |
控除率 | - | 借地権割合 0.6 借家権割合 0.3 賃貸割合 720/900 = 0.8 控除率 0.6 × 0.3 × 0.8 = 0.144 |
貸家建付地部分 の評価額 |
- | 186,750千円 × ( 1 - 0.144 ) = 159,858千円 |
相続税評価額 | 180,608千円 |
〈設例〉から必要な情報を読み取りつつ、算出手順表に沿って相続税評価額を求める。
便宜上、〈設例〉の見取り図の上側を北とみなす。
甲宅地について、北側路線の路線価は400千円/m2、南側路線の路線価は300千円/m2、奥行はどちらも20mであり、奥行価格補正率は1.00となる(設例からの読み取り)。
奥行価格補正率で補正した路線価を求める。
北側路線について、400千円/m2 × 1.00 = 400千円/m2 …(1)
南側路線について、300千円/m2 × 1.00 = 300千円/m2 …(2)
(1) > (2)より、路線価の高い北側路線が正面路線となり、南側路線が裏面路線となる。
二方路線影響加算率は0.05である(設例からの読み取り)。
裏面(南側)路線について、奥行価格補正率で補正した路線価(2)を、さらに二方路線影響加算率で補正する。
300千円/m2 × 0.05 = 15千円/m2 …(3)
1m2あたりの評価額を、 (1) + (3) により求める。
400千円/m2 + 15千円/m2 = 415千円/m2 …(4)
地積を、設例から計算する。
20m × 25m = 500m2 …(5)
自用地評価額を、(4) × (5) により求める。
415千円/m2 × 500m2 = 207,500千円 …(6)
乙建物は一部を自用地利用し一部を賃貸しているので、自用地評価額を、自用地部分と貸家建付地部分とに按分する。
自用地評価額は、(6)より、207,500千円である。
建物の独立部分の床面積の合計は1,000m2、そのうち自用地部分は100m2、賃貸部分は900m2である(設問からの読み取り)。
※利用割合や賃貸割合の計算にあたっては、建物の独立部分の床面積の合計を全体とみる。建物の総床面積(1,100m2)には共用部分の床面積が含まれているため、用いない。
(自用地評価額)×(利用割合)により按分額を求める。
自用地部分について、207,500千円 × 100/1000 = 20,750千円 …(7)
貸家建付地部分について、207,500千円 × 900/1000 = 186,750千円 …(8)
貸家建付地部分について評価減を行う。
借地権割合は60%、借家権割合は30%であり、賃貸部分のうち賃貸されている部分の床面積は720m2である(設例からの読み取り)。
(借地権割合)×(借家権割合)×(賃貸割合)により控除率を求める。
0.6 × 0.3 × 720/900 = 0.144 …(9)
貸家建付地部分の按分額(7)に対して、控除率(9)を用いて評価減を行う。
186,750千円 × ( 1 - 0.144 ) = 159,858千円 …(10)
相続税評価額を、(7) + (10) により求める。
20,750千円 + 159,858千円 = 180,608千円