〈典型問題〉宅地の相続税評価
宅地の相続税評価(貸家建付地)
〈典型問題〉宅地の相続税評価
本問は、正面と側方に路線がある宅地について、貸家建付地として利用している場合の、宅地の相続税評価額を計算する問題である。
西側路線 | 南側路線 | |
---|---|---|
路線価 | 400千円/m2 | 350千円/m2 |
奥行 | 15m | 12m |
奥行 価格補正率 |
1.00 | 1.00 |
補正額 | 400千円/m2 | 350千円/m2 |
判定 | 正面路線 | 側方路線 |
側方路線 影響加算率 |
- | 角地 0.03 |
側方路線 影響加算額 |
- | 10.5千円/m2 |
1m2あたり の評価額 |
410.5千円/m2 | |
地積 | 180m2 | |
自用地評価額 | 73,890千円 |
貸家建付地 | |
---|---|
自用地評価額 | 73,890千円 |
控除率 | 借地権割合 0.6 借家権割合 0.3 賃貸割合 360/400 = 0.9 控除率 0.6 × 0.3 × 0.9 = 0.162 |
相続税評価額 | 73,890千円 × ( 1 - 0.162 ) = 61,919.82千円 |
〈設例〉から必要な情報を読み取りつつ、算出手順表に沿って相続税評価額を求める。
便宜上、〈設例〉の見取り図の上側を北とみなす。
甲宅地のA部分について、西側路線の路線価は400千円/m2、南側路線の路線価は350千円/m2、奥行は西側路線が15m、南側路線は12mであり、奥行価格補正率はどちらも1.00となる(設例からの読み取り)。
※甲宅地はA部分とB部分とで利用単位が異なるため、それぞれを一画地とみる。
奥行価格補正率で補正した路線価を求める。
西側路線について、400千円/m2 × 1.00 = 400千円/m2 …(1)
南側路線について、350千円/m2 × 1.00 = 350千円/m2 …(2)
(1) > (2)より、路線価の高い西側路線が正面路線となり、南側路線が側方路線となる。
甲宅地のA部分は角地にあたり、側方路線影響加算率は0.03である(設例からの読み取り)。
側方(南側)路線について、奥行価格補正率で補正した路線価(2)を、さらに側方路線影響加算率で補正する。
350千円/m2 × 0.03 = 10.5千円/m2 …(3)
1m2あたりの評価額を、 (1) + (3) により求める。
400千円/m2 + 10.5千円/m2 = 410.5千円/m2 …(4)
地積は180m2である(設例からの読み取り)
自用地評価額を、(4) ×(地積) により求める。
410.5千円/m2 × 180m2 = 73,890千円 …(5)
乙建物は賃貸しているので、貸家建付地として評価減を行う。
自用地評価額は、(5)より、73,890千円である。
建物の独立部分の床面積の合計は400m2、そのうち賃貸されていない部分の面積は40m2である(設例からの読み取り)。賃貸されている部分の床面積は、差をとって、400m2 - 40m2 = 360m2 となる。
※賃貸割合の計算にあたっては、建物の独立部分の床面積の合計を全体とみる。建物の総床面積(500m2)には共用部分の床面積が含まれているため、用いない。
借地権割合は60%、借家権割合は30%である(設例からの読み取り)。
(借地権割合)×(借家権割合)×(賃貸割合)により控除率を求める。
0.6 × 0.3 × 360/400 = 0.162 …(6)
自用地評価額に対して、控除率(6)を用いて評価減を行う。
73,890千円 × ( 1 - 0.162 ) = 61,919.82千円