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過去問演習

CFP®資格審査試験 2023年度第2回
相続・事業承継設計
問題33

宅地の相続税評価(貸家建付地)

〈典型問題〉宅地の相続税評価

本問は、正面と側方に路線がある宅地について、貸家建付地として利用している場合の、宅地の相続税評価額を計算する問題である。

算出手順表

自用地評価額の算出(路線価方式)
西側路線 南側路線
路線価 400千円/m2 350千円/m2
奥行 15m 12m
奥行
価格補正率
1.00 1.00
補正額 400千円/m2 350千円/m2
判定 正面路線 側方路線
側方路線
影響加算率
角地 0.03
側方路線
影響加算額
10.5千円/m2
1m2あたり
の評価額
410.5千円/m2
地積 180m2
自用地評価額 73,890千円
相続税評価額の算出(貸家建付地)
貸家建付地
自用地評価額 73,890千円
控除率 借地権割合 0.6
借家権割合 0.3
賃貸割合 360/400 = 0.9
控除率 0.6 × 0.3 × 0.9 = 0.162
相続税評価額 73,890千円 × ( 1 - 0.162 ) = 61,919.82千円

解説

〈設例〉から必要な情報を読み取りつつ、算出手順表に沿って相続税評価額を求める。

  • 前半処理 … 側方路線を考慮して、路線価から自用地評価額を求める(〔1〕から〔3〕)
  • 後半処理 … 貸家建付地であることを考慮して、自用地評価額から相続税評価額を求める(〔4〕)

〔1〕正面路線の判定

便宜上、〈設例〉の見取り図の上側を北とみなす。
甲宅地のA部分について、西側路線の路線価は400千円/m2、南側路線の路線価は350千円/m2、奥行は西側路線が15m、南側路線は12mであり、奥行価格補正率はどちらも1.00となる(設例からの読み取り)。

※甲宅地はA部分とB部分とで利用単位が異なるため、それぞれを一画地とみる。

奥行価格補正率で補正した路線価を求める。
 西側路線について、400千円/m2 × 1.00 = 400千円/m2 …(1)
 南側路線について、350千円/m2 × 1.00 = 350千円/m2 …(2)
(1) > (2)より、路線価の高い西側路線が正面路線となり、南側路線が側方路線となる。

〔2〕側方路線影響加算額の算出

甲宅地のA部分は角地にあたり、側方路線影響加算率は0.03である(設例からの読み取り)。

側方(南側)路線について、奥行価格補正率で補正した路線価(2)を、さらに側方路線影響加算率で補正する。
 350千円/m2 × 0.03 = 10.5千円/m2 …(3)

〔3〕自用地評価額の算出

1m2あたりの評価額を、 (1) + (3) により求める。
 400千円/m2 + 10.5千円/m2 = 410.5千円/m2 …(4)

地積は180m2である(設例からの読み取り)

自用地評価額を、(4) ×(地積) により求める。
 410.5千円/m2 × 180m2 = 73,890千円 …(5)

〔4〕貸家建付地の評価額の算出

乙建物は賃貸しているので、貸家建付地として評価減を行う。
自用地評価額は、(5)より、73,890千円である。
建物の独立部分の床面積の合計は400m2、そのうち賃貸されていない部分の面積は40m2である(設例からの読み取り)。賃貸されている部分の床面積は、差をとって、400m2 - 40m2 = 360m2 となる。

※賃貸割合の計算にあたっては、建物の独立部分の床面積の合計を全体とみる。建物の総床面積(500m2)には共用部分の床面積が含まれているため、用いない。

借地権割合は60%、借家権割合は30%である(設例からの読み取り)。

(借地権割合)×(借家権割合)×(賃貸割合)により控除率を求める。
 0.6 × 0.3 × 360/400 = 0.162 …(6)

自用地評価額に対して、控除率(6)を用いて評価減を行う。
 73,890千円 × ( 1 - 0.162 ) = 61,919.82千円

正解 4