〈典型問題〉自動車保険の約款と保険金
過失割合のある事故の自動車保険の対物賠償保険金
〈典型問題〉自動車保険の約款と保険金
本問は、自動車保険について、約款を読み取り、対物賠償保険金と車両保険金の額を計算する問題である。
算式の各項の算出 | 各項の額 | ||
---|---|---|---|
法律上の損害 賠償責任の額 |
相手車両の損害額(修理費用) 50万円 相手車両の保険価額(時価額) 200万円 自分側の過失割合 60% 50万円 × 60% = 30万円 |
30万円 | |
第5条①から⑤ までの費用 |
なし | + | 0円 |
代位取得する ものの価額 |
なし | - | 0円 |
免責金額 | 0円 | - | 0円 |
対物賠償保険金 (§4(1)) |
対物保険金額(無制限)を限度 | 30万円 |
算式の各項の算出 | 各項の額 | ||
---|---|---|---|
区分の判定 | 車両保険金額 160万円 車両保険価額 160万円 「分損」かつ「車両保険金額が車両保険価額以上」 |
||
修理費 | 損害額(修理費用) 80万円 | 80万円 | |
部分品の交換に よる価額の増加額 |
なし | - | 0円 |
残存物の価額 | なし | - | 0円 |
損害の額(§6②) | 80万円 | ||
免責金額 | 0円 | - | 0円 |
支払保険金の額 (§5(1)) |
車両保険価額(160万円)を限度 | 80万円 | |
回収金の差引き (§5(3)) |
相手方の過失割合 40% 相手方の免責金額 5万円 相手方の対物賠償責任保険金 80万円 × 40% - 5万円 = 27万円 相手方の対物保険金額(無制限)を限度とするため、27万円 免責金額の相手方負担分 5万円 回収金の合計 27万円 + 5万円 = 32万円 自己負担額に対する超過額 32万円 - 0円 = 32万円 |
- | 32万円 |
支払い車両保険金 | 48万円 |
対物賠償保険金と車両保険金の合計額 30万円 + 48万円 = 78万円
設問から必要な情報を読み取りつつ、算出手順表に沿って保険金の額を求める。
対物賠償責任条項第4条(1)に示された算式に沿って、計算に必要な金額を求めていく。
「被保険者が負担する法律上の損害賠償責任の額」
相手車両の損害額(修理費用)は50万円である(これは相手車両の時価額200万円を超えない)。
〈資料1〉より、自身の過失割合は60%であるから、法律上の損害賠償責任の額は 50万円 × 60% = 30万円。
「第5条(費用)①から⑤までの費用」
〈条件〉の記載より、0円。
「損害賠償金を支払ったことにより代位取得するものがある場合は、その価額」
〈条件〉の記載より、0円。
「免責金額の記載がある場合は、その免責金額」
〈条件〉の記載より、対物賠償責任保険の免責金額は、0円。
以上を算式に代入して、対物賠償保険金は
30万円 + 0円 - 0円 - 0円 = 30万円 …(1)。これは対物保険金額(無制限)の限度内である。
車両条項第5条(1)により、支払保険金の計算に関する区分を判定する。
〈資料1〉より、「②分損の場合」に該当する。
〈条件〉より、車両保険金額は160万円、車両保険価額は160万円であるから、「車両保険金額が保険価額以上の場合」に該当する。
車両条項第6条②に示された算式に従って、損害の額を求める。
「修理費の額」
自身の車両の損害額(修理費用)は、80万円。
「修理に際し部分品を交換したために発生した増加額」
問題に記載がなく、0円。
「修理に伴う残存物の価額」
問題に記載がなく、0円。
以上を算式に代入して、損害の額は
80万円 - 0円 - 0円 = 80万円
「免責金額の記載がある場合は、その免責金額」
〈条件〉の記載より、車両保険の免責金額は、0円。
以上を算式に代入して、支払保険金の額は
80万円 - 0円 = 80万円。これは車両保険価額(160万円)の限度内である。
車両条項第5条(3)により、車両保険金から回収金を差し引く。
「相手方の対物賠償責任保険からの保険金」
自身の車両の損害額は80万円。
相手方の過失割合は〈資料1〉より40%。
相手方の対物賠償責任保険の免責金額は〈条件〉より5万円。
以上から、相手方の対物賠償責任保険からの保険金は、80万円 × 40% - 5万円 = 27万円。
これは、相手方の対物賠償責任保険金額(無制限)の限度内である。
「相手方保険の免責金額の相手方負担分」
上記のとおり、5万円。
回収金の合計額は、27万円 + 5万円 = 32万円
回収金の、自己負担額に対する超過額
自身の自己負担額は0円であるから、超過額は、
32万円 - 0円 = 32万円
車両保険金から回収金を差し引いて、支払われる車両保険金の額を求める。
80万円 - 32万円 = 48万円 …(2)
対物賠償保険金と車両保険金の合計額は、
(1) + (2) = 78万円。