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過去問演習

CFP®資格審査試験 2023年度第1回
リスクと保険
問題35

過失割合のある事故の自動車保険の対物賠償保険金

〈典型問題〉自動車保険の約款と保険金

本問は、自動車保険について、約款を読み取り、対物賠償保険金と車両保険金の額を計算する問題である。

算出手順表

対物賠償保険金の算出
算式の各項の算出 各項の額
法律上の損害
賠償責任の額
相手車両の損害額(修理費用) 50万円
相手車両の保険価額(時価額) 200万円
自分側の過失割合 60%
50万円 × 60% = 30万円
30万円
第5条①から⑤
までの費用
なし 0円
代位取得する
ものの価額
なし 0円
免責金額 0円 0円
対物賠償保険金
(§4(1))
対物保険金額(無制限)を限度 30万円
車両保険金の算出
算式の各項の算出 各項の額
区分の判定 車両保険金額 160万円
車両保険価額 160万円
「分損」かつ「車両保険金額が車両保険価額以上」
修理費 損害額(修理費用) 80万円 80万円
部分品の交換に
よる価額の増加額
なし 0円
残存物の価額 なし 0円
損害の額(§6②) 80万円
免責金額 0円 0円
支払保険金の額
(§5(1))
車両保険価額(160万円)を限度 80万円
回収金の差引き
(§5(3))
相手方の過失割合 40%
相手方の免責金額 5万円
相手方の対物賠償責任保険金 80万円 × 40% - 5万円 = 27万円
相手方の対物保険金額(無制限)を限度とするため、27万円
免責金額の相手方負担分 5万円
回収金の合計 27万円 + 5万円 = 32万円
自己負担額に対する超過額 32万円 - 0円 = 32万円
32万円
支払い車両保険金 48万円

対物賠償保険金と車両保険金の合計額 30万円 + 48万円 = 78万円

解説

設問から必要な情報を読み取りつつ、算出手順表に沿って保険金の額を求める。

〔1〕対物賠償保険金の算出

対物賠償責任条項第4条(1)に示された算式に沿って、計算に必要な金額を求めていく。

「被保険者が負担する法律上の損害賠償責任の額」
 相手車両の損害額(修理費用)は50万円である(これは相手車両の時価額200万円を超えない)。
 〈資料1〉より、自身の過失割合は60%であるから、法律上の損害賠償責任の額は 50万円 × 60% = 30万円

「第5条(費用)①から⑤までの費用」
 〈条件〉の記載より、0円

「損害賠償金を支払ったことにより代位取得するものがある場合は、その価額」
 〈条件〉の記載より、0円

「免責金額の記載がある場合は、その免責金額」
 〈条件〉の記載より、対物賠償責任保険の免責金額は、0円

以上を算式に代入して、対物賠償保険金は
 30万円 + 0円 - 0円 - 0円 = 30万円 …(1)。これは対物保険金額(無制限)の限度内である。

〔2〕車両保険金の算出:区分の判定

車両条項第5条(1)により、支払保険金の計算に関する区分を判定する。

〈資料1〉より、「②分損の場合」に該当する。
〈条件〉より、車両保険金額は160万円、車両保険価額は160万円であるから、「車両保険金額が保険価額以上の場合」に該当する。

〔3〕車両保険金の算出:損害額の算出

車両条項第6条②に示された算式に従って、損害の額を求める。

「修理費の額」
 自身の車両の損害額(修理費用)は、80万円

「修理に際し部分品を交換したために発生した増加額」
 問題に記載がなく、0円

「修理に伴う残存物の価額」
 問題に記載がなく、0円

以上を算式に代入して、損害の額は
 80万円 - 0円 - 0円 = 80万円

〔4〕車両保険金の算出:支払保険金の額の算出

「免責金額の記載がある場合は、その免責金額」
 〈条件〉の記載より、車両保険の免責金額は、0円

以上を算式に代入して、支払保険金の額は
 80万円 - 0円 = 80万円。これは車両保険価額(160万円)の限度内である。

〔5〕車両保険金の算出:回収金の差し引き

車両条項第5条(3)により、車両保険金から回収金を差し引く。

「相手方の対物賠償責任保険からの保険金」
 自身の車両の損害額は80万円。
 相手方の過失割合は〈資料1〉より40%。
 相手方の対物賠償責任保険の免責金額は〈条件〉より5万円。
 以上から、相手方の対物賠償責任保険からの保険金は、80万円 × 40% - 5万円 = 27万円
 これは、相手方の対物賠償責任保険金額(無制限)の限度内である。

「相手方保険の免責金額の相手方負担分」
 上記のとおり、5万円

回収金の合計額は、27万円 + 5万円 = 32万円

回収金の、自己負担額に対する超過額
 自身の自己負担額は0円であるから、超過額は、
 32万円 - 0円 = 32万円

車両保険金から回収金を差し引いて、支払われる車両保険金の額を求める。
 80万円 - 32万円 = 48万円 …(2)

〔6〕保険金の合計額

対物賠償保険金と車両保険金の合計額は、
 (1) + (2) = 78万円

正解 3