独学サポート

過去問演習

CFP®資格審査試験 2023年度第1回
タックスプランニング
問題44

交際費等の損金不算入

〈典型問題〉交際費の損金不算入

本問は、会計上は接待交際費として計上された費目について、法人税額の計算上、損金不算入とするべき金額を計算する問題である。
本問の答を正しく求めておくことは、問題45に解答するために必要である。

算出手順表

税務上の交際費の算出
接待交際費 税務上の交際費に該当 金額
展示会への招待 ×
中元、歳暮の贈答 1,500千円
カレンダーの贈答 ×
渡切交際費 × (役員給与)
ゴルフへの招待 220千円
飲食費(一次会) ×4千円/人)
飲食費(二次会) 10千円/人) 150千円
その他交際費 7,450千円
税務上の交際費 9,320千円

飲食費の50% = 150千円 ÷ 2 = 75千円( < 8,000千円 )
損金算入限度額 8,000千円
損金不算入とするべき金額 9,320千円 - 8,000千円 = 1,320千円

解説

税務上の交際費を判定し、その合計額のうち損金算入限度額を超える額が損金不算入となる。

〔1〕法人の区分

本問の法人は、資本金の額が1億円以下であるため、中小法人に該当する。
損金算入限度額は、「年800万円」か「飲食費の50%」のいずれか大きい方を選択する。

〔2〕税務上の交際費の判定

〈接待交際費に関する事項〉に掲げられた項目について、税務上の交際費に該当するかどうかを判定する。
飲食費は一次会と二次会が単独で行われたと認められるため、別々に検討する。

  • 新製品展示会に得意先を招待した費用は、税務上の交際費に該当しない。
  • 中元、歳暮の贈答費用は、税務上の交際費に該当する(1,500千円 … (1))。
  • カレンダーの贈答費は、税務上の交際費に該当しない。
  • 役員への渡切交際費は、役員給与となり、税務上の交際費に該当しない。問題45の計算に含める。
  • 得意先のゴルフへの招待費用は、税務上の交際費に該当する(220千円 … (2))。
  • 一次会の飲食費は、1人あたり 60千円 ÷ 15人 = 4千円 であるから、税務上の交際費に該当しない。
    (※1人あたり5千円以下の飲食費は、税務上の交際費に該当しない。)
  • 二次会の飲食費は、1人あたり 150千円 ÷ 14人 = 10千円 であるから、税務上の交際費に該当する(150千円 … (3))。
    (※1人あたり5千円を超える飲食費は、税務上の交際費に該当する。)
  • その他、税務上の交際費と認められる金額がある(7,450千円 … (4))。
    (※未払金や仮払金として計上されていても、接待等の事実のあった事業年度の交際費に含める。)

以上より、税務上の交際費の合計額は、(1) + (2) + (3) + (4) = 9,320千円 … (5) である。

〔3〕損金算入限度額の算出

税務上の交際費のうち、飲食費に該当するものは次のとおりである。

  • 二次会の飲食費 150千円 … (3)

したがって、飲食費の50%は、(3) ÷ 2 = 75千円 となる。

8,000千円 > 75千円 より、損金算入限度額として 8,000千円 … (6) を選択する。

〔4〕損金不算入とするべき金額の算出

以上より、損金不算入とするべき額は、(5) - (6) = 1,320千円 である。

正解 1