問1 | 傍線部「中井、何言ってんの? と当惑して、思わず空を見上げる」の場面での真宙の様子を説明する問題である。 「当惑」は、戸惑うこと。天音が柳くんに「ウチュウセンの観測ですか?」と尋ねたのを聞いた真宙は、「宇宙船」をイメージして戸惑い、「思わず空を見上げ」たのである。その後も盛り上がる二人を眺めながら「ちんぷんかんぷん」な真宙は、「宇宙線」だと説明を受けて、ようやく話についていけるようになっている。 ア(誤)「とまどい」は正しいが、「宇宙船は肉眼で見ることができないことを確認」が誤り。真宙はこの時はまだウチュウセンを「宇宙船」だと思っている。 イ(正)「どう対応していいかわからず」は「当惑して」にあたり適切。「本当に宇宙船が飛んでいるのか」も空を見上げた理由として正しい。 ウ(誤)「恥ずかしさを感じ」が誤り。 エ(誤)「がっかりして」が誤り。 |
||
---|---|---|---|
イ | 4点 | ||
問2 | 傍線部「真宙の中で、体温がすっと下がっていく感覚がする」の場面での真宙の心情を説明する問題である。 「体温がすっと下がる」は、会話から温厚な雰囲気が損なわれ、昂ぶっていた気持ちが急に冷めたことの比喩と考えられる。思わず聞いてしまった「陸上部は?」という問いに対して、柳くんが「びっくりしたように真宙を見つめ返」したことで、真宙は、自分の質問が不適切だったのかもしれないと感じたのである。 これに続く場面で、真宙は、柳くんがスポーツの世界から離れたことにショックを受けている。柳くん自身にとっても、陸上部をやめたことは触れてほしくない挫折だったのではないかと、真宙が考えていたことが読み取れる。 ア(誤)「落ち着きを取り戻して、嬉しく感じている」は誤り。 イ(誤)「話題を変えることができて、ほっとしている」は誤り。 ウ(誤)「天音にはわからない話を始めてしまった」ことを反省しているわけではない。 エ(正)「思わず陸上部のことを聞いてしまった」あとで、「聞いてはいけなかったのかもしれない」と「不安になっている」という説明で正しい。 |
||
エ | 4点 | ||
問3 | 傍線部「ちょっと気まずそうに頬をかきながら」の場面での柳くんの心情を説明する問題である。 柳くんが気まずそうに頬をかいたことの直接のきっかけは、真宙と天音から「え……」と驚きの反応を返されたことである。天音が、物理はセンスがないとまったく太刀打ちできない世界だから物理部の皆さんはすごい、という趣旨の称賛をしたのに対し、柳くんが物理を取っていないと応じたので、真宙と天音は意外に思ったのである。 その直後に「物理のセンスがあるかどうかなんて、わかってるヤツいない」と釈明していることからも、真宙と天音が驚いた原因を、柳くんが正確に理解していることがわかる。物理部に入っているのに、「物理が得意=物理のセンスがある」という天音の称賛に当てはまらないことに、気まずさを感じたのだと思われる。 指定された二つの言葉を含むように、文中の表現を生かして答える。 |
||
(例) 物理のセンスがあるから物理部に入ったと思われた | 6点 | ||
問4 | 傍線部「柳くんの答えが衝撃だったからだ」の場面での真宙の様子を説明する問題である。 「柳くんの答え」が直接指しているのは、天音が直前に「物理の研究とか観測って、どういうところが楽しいですか。」と尋ねたことに対する、柳くんの返事である。「まだない答えを探してるって気持ちが強くて、そこが楽しいのかもしれない」という柳くんの発言が、真宙には想像の範囲外だったのである。 この発言に真宙が衝撃を受けた背景をさらにさかのぼって探すと、「なんでオレが、ショック受けてるんだろう」、「柳くんが高校で文化系の部に所属していることが、どうしてこんなにショックなのか」という記述が見つかる。「ショック」は「衝撃」と同じ意味と考えてよい。ショックを受けた原因は、その直前にあるとおり、「柳くんがスポーツの世界から離れてしまうなんて、想像もできなかった」からである。 つまり、「柳くんがスポーツの世界を離れたこと」と、「まだない答えを探して物理部で活動していること」の二つが、真宙の衝撃の原因である。 指定された二つの言葉を含むように、文中の表現を生かして答える。 |
||
(例) スポーツの世界を離れて、答えがないことが楽しくて物理部で研究や観測をしている | 7点 | ||
問5 | 適切でないものを、二つ選ぶ問題であることに注意する。 ア(正)「真宙は」のように、地の文で登場人物を名前で呼ぶ点は、客観的な視点に立つ語り手の存在を示している。いっぽう、「オレは」のように、真宙の視点に立つ一人称も地の文で用いられている。 イ(正)「宇宙線が見えるみたいに」や「途方に暮れたような」が比喩にあたる。 ウ(誤)「皆さんは、高校の部で活動してるんですか? 理科部とか。」という天音の質問に対して、柳くんが「物理部だよ。」と答えた場面で、「真宙は、えっと目を見開いた。」という描写がある。ここでは、陸上部だと思っていた柳くんが物理部の活動をしていることに真宙は驚いている。「天音が初対面の柳くんに気軽に話しかけている様子に」驚いているわけではないので、誤り。 エ(正)「長く黙り込んで」や「長く考え込んだ」という柳くんの様子は、答えにくい質問でもはぐらかさないで応じようとする柳くんの真剣さを示している。 オ(誤)「真宙が小学校時代の自分を回想する『過去』の場面」は、本文中にはない。 以上より、適切でないものは ウとオ である。 |
||
ウ と オ | 5点 |