〈典型問題〉原価法による建物価格の計算
〈典型問題〉原価法による建物価格の計算
本問は、建物について、原価法を用い、減価修正を適用して価格を求め、土地の価格と合わせて積算価格を計算する問題である。
前問(問題13)の答を正しく求められていることが、本問に解答するための前提となる。
建物本体 | 附属設備 | |
---|---|---|
再調達原価 | 1m2当たりの建築工事費 182千円/m2 延べ面積 110m2 20,020千円 |
|
新築時の 構成割合 |
80% | 20% |
経過年数の 耐用年数に 対する比 |
12/25 | 12/15 |
各部分の減価額 | 7,688千円 | 3,203千円 |
耐用年数に 基づく減価額 |
10,891千円 | |
実態調査に 基づく減価額 |
耐用年数に基づく減価額を控除した後の額 9,129千円 その10%相当額 913千円 |
|
乙建物の 積算価格 |
8,216千円 |
甲土地の再調達原価(更地価格) … 27,444千円
対象不動産の一体としての減価額 … なし
27,444千円 + 8,216千円 = 35,660千円
〈設例〉から必要な情報を読み取りつつ、算出手順表に沿って積算価格を求める。
甲土地の更地価格は、前問(問題13)より、27,444千円である。また、甲土地について減価修正はない(設例からの読み取り)。
乙建物について、新築時の延床面積1m2当たりの建築工事費は140千円である(設例からの読み取り)。
建築工事費の上昇率30%を見込んで、評価時点での建築工事費を計算する。
140千円/m2 × 1.3 = 182千円/m2
乙建物の再調達原価を、(建築工事費)×(延床面積)により計算する。
182千円/m2 × 110m2 = 20,020千円
乙建物を建物本体と附属設備に分け、各構成部分について、耐用年数に基づく減価額を求める。
新築時の構成割合は建物本体が80%、附属設備が20%である(設例からの読み取り)。
乙建物は築後12年を経過している(設例からの読み取り)ため、(経過年数)÷(耐用年数)の値は、建物本体が (12/25) 、附属設備が (12/15) となる。
建物本体の減価額は、 20,020千円 × 0.8 × (12/25) = 7,687.68千円 より、千円未満を四捨五入して、7,688千円 …(1)
附属設備の減価額は、 20,020千円 × 0.2 × (12/15) = 3,203.2千円 より、千円未満を四捨五入して、3,203千円 …(2)
耐用年数に基づく減価額は、(1) + (2) より、10,891千円 である。
実態調査に基づいて、屋根の破損による減価額を求める。
乙建物の再調達原価の額から耐用年数に基づく減価額を控除した額は、 20,020千円 - 10,891千円 = 9,129千円 …(3)
実態調査に基づく減価額は、その10%相当額であり、 (3) × 0.1 = 912.9千円 より、千円未満を四捨五入して、913千円 である。
甲土地と乙建物について、それぞれ再調達原価から減価額を引いて積算価格を求める。
甲建物の積算価格は、( 27,444千円 - 0 ) = 27,444千円 …(4)
乙建物の積算価格は、( 20,200千円 - 10,891千円 - 913千円 ) = 8,216千円 …(5)
対象不動産(甲土地+乙建物)の一体としての減価額はない(設例からの読み取り)。
対象不動産の積算価格は、(4) + (5)より、27,444千円 + 8,216千円 = 35,660千円 である。