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過去問演習

CFP®資格審査試験 2023年度第2回
金融資産運用設計
問題25

譲渡損益の金額の計算

〈典型問題〉株式投資信託の解約と譲渡所得

本問は、国内公募追加型株式投資信託について、収益分配金の受け取り、課税口座への移管を経て解約した場合の、譲渡損益を計算する問題である。

算出手順表

日付 取引 計算 保有口数 個別元本
2019年
11月15日
購入
100万口
購入額 9,000円 × 100万口 = 900,000
手数料 9,000円 × 2.2% × 100万口 = 19,800
100万口 9,000円
累計受取り
3,000円
普通分配金 2,000円 × 100万口 = 200,000
特別分配金 1,000円 × 100万口 = 100,000
100万口 8,000
2023年
5月31日
移管
100万口
売却・再取得のみなし額 12,000円 × 100万口 = 1,200,000 100万口 8,000円
2023年
10月31日
売却
100万口
売却額 11,800円 × 100万口 = 1,180,000
信託財産留保額 0円
解約時手数料 0円
0 -

取得費 1,200,000円
解約金額 1,180,000円 - 0円 = 1,180,000円
譲渡損益 1,180,000円 - 1,200,000円 = ▲20,000円

解説

〔1〕時系列の確認

設問の〈表1〉〈表2〉〈表3〉〈表4〉から、当初購入・収益分配金の受け取り・課税口座への移管・解約を、起こった順に整理する。

  • 2019年11月15日 100万口を基準価額9,000円で購入
  • 移管するまで 収益分配金3,000円の受け取り
  • 2023年5月31日 100万口を基準価額12,000円で課税口座に移管
  • 2023年10月31日 100万口を基準価額11,800円で売却

この順に従って、保有口数、受け取った分配金、個別元本の変遷をたどっていく。
なお、課税口座に移管した際の取得費が移管時の基準価格で計算されることを押さえていれば、本問では〔2〕と〔3〕の計算は結果的に必要ではない。

〔2〕2019年11月15日の購入

基準価額9,000円で100万口を購入する(購入額900,000円、手数料19,800円)。個別元本は当初の基準価額と同じで9,000円となる。

〔3〕累計の収益分配金の受け取り

累計の普通分配金は 2,000円 × 100万口 = 200,000円。
累計の特別分配金は 1,000円 × 100万口 = 100,000円。
個別元本は、特別分配金として受け取った1,000円の分だけ減少し、9,000円 - 1,000円 = 8,000円となる。

〔4〕2023年5月31日の移管

NISA口座から課税口座に移管したときは、移管時の金額で売却・再取得したとみなされる。取得費は移管時の基準価額であり、個別元本は移管時の時価である。
取得費は 12,000円 × 100万口 = 1,200,000円 である。
個別元本は 8,000円 である。

〔5〕2023年10月31日の解約

基準価額11,800円で100万口を解約する。
売却額は 11,800円 × 100万口 = 1,180,000円。
信託財産留保額、解約時手数料はなし。
解約金額は 1,180,000円

取得費は移管時から変わっておらず、 1,200,000円

〔6〕譲渡損益

解約金額から取得費を差し引いて、譲渡損益を計算する。
譲渡損益は 1,180,000円 - 1,200,000円 = ▲20,000円

正解 3