〈典型問題〉株式投資信託の解約と譲渡所得
譲渡損益の金額の計算
〈典型問題〉株式投資信託の解約と譲渡所得
本問は、国内公募追加型株式投資信託について、収益分配金の受け取り、課税口座への移管を経て解約した場合の、譲渡損益を計算する問題である。
日付 | 取引 | 計算 | 保有口数 | 個別元本 |
---|---|---|---|---|
2019年 11月15日 |
購入 100万口 |
購入額 9,000円 × 100万口 = 900,000円 手数料 9,000円 × 2.2% × 100万口 = 19,800円 |
100万口 | 9,000円 |
~ | 累計受取り 3,000円 |
普通分配金 2,000円 × 100万口 = 200,000円 特別分配金 1,000円 × 100万口 = 100,000円 |
100万口 | 8,000円 |
2023年 5月31日 |
移管 100万口 |
売却・再取得のみなし額 12,000円 × 100万口 = 1,200,000円 | 100万口 | 8,000円 |
2023年 10月31日 |
売却 100万口 |
売却額 11,800円 × 100万口 = 1,180,000円 信託財産留保額 0円 解約時手数料 0円 |
0 | - |
取得費 1,200,000円
解約金額 1,180,000円 - 0円 = 1,180,000円
譲渡損益 1,180,000円 - 1,200,000円 = ▲20,000円
設問の〈表1〉〈表2〉〈表3〉〈表4〉から、当初購入・収益分配金の受け取り・課税口座への移管・解約を、起こった順に整理する。
この順に従って、保有口数、受け取った分配金、個別元本の変遷をたどっていく。
なお、課税口座に移管した際の取得費が移管時の基準価格で計算されることを押さえていれば、本問では〔2〕と〔3〕の計算は結果的に必要ではない。
基準価額9,000円で100万口を購入する(購入額900,000円、手数料19,800円)。個別元本は当初の基準価額と同じで9,000円となる。
累計の普通分配金は 2,000円 × 100万口 = 200,000円。
累計の特別分配金は 1,000円 × 100万口 = 100,000円。
個別元本は、特別分配金として受け取った1,000円の分だけ減少し、9,000円 - 1,000円 = 8,000円となる。
NISA口座から課税口座に移管したときは、移管時の金額で売却・再取得したとみなされる。取得費は移管時の基準価額であり、個別元本は移管時の時価である。
取得費は 12,000円 × 100万口 = 1,200,000円 である。
個別元本は 8,000円 である。
基準価額11,800円で100万口を解約する。
売却額は 11,800円 × 100万口 = 1,180,000円。
信託財産留保額、解約時手数料はなし。
解約金額は 1,180,000円。
取得費は移管時から変わっておらず、 1,200,000円。
解約金額から取得費を差し引いて、譲渡損益を計算する。
譲渡損益は 1,180,000円 - 1,200,000円 = ▲20,000円。