〈典型問題〉医療費控除
医療費控除
〈典型問題〉医療費控除
本問は、所得税の医療費控除の金額を、セルフメディケーション税制を考慮に入れて計算する問題である。
| 内容 | 支払金額 | 控除対象 （生計・時期・医療費） |
保険に よる填補 |
差引額 |
|---|---|---|---|---|
| 本人・薬代 | 60,000円 | ○ | - | 60,000円 |
| 本人・外科 | 70,000円 | ○ | - | 70,000円 |
| 本人・交通費 | 7,000円 | ○ | - | 7,000円 |
| 妻・予防接種 | 12,000円 | 医療費非該当 | - | - |
| 長男・検査料 | 65,000円 | 医療費非該当 | - | - |
| 長女・歯科 | 8,000円 | ○ | - | 8,000円 |
| 145,000円 | ||||
自己負担分 7,000,000円 × 5% = 350,000円（ > 100,000円 ）より、100,000円
医療費控除 145,000円 - 100,000円 = 45,000円（上限 2,000,000円 の範囲内）
| スイッチOTC 医薬品の購入 |
支払金額 | 保険に よる填補 |
差引額 |
|---|---|---|---|
| 本人・薬代 | 60,000円 | - | 60,000円 |
| 60,000円 | |||
自己負担分 12,000円
医療費控除 60,000円 - 12,000円 = 48,000円（上限 88,000円 の範囲内）
45,000円 < 48,000円 より、最も多くなるように計算した医療費控除額は、 48,000円
医療費控除の控除対象となるかどうかにつき、同一生計要件と支払時期の要件については、先に一括して確認しておく。
同一生計要件（自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること）
問題に挙げられた本人、妻、長男、長女はいずれも同一生計内にあり、要件を満たしている。
支払時期の要件（その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること）
問題に挙げられた支払金額はいずれも当年中に支払ったものであり、要件を満たしている。
医療費の内容を列挙する。備考欄だけに記載されている項目や、内訳が示されているものに注意して、検討するべき項目ごとに切り分ける。
これらの項目を、それぞれ控除対象の該当性と保険による填補額を考慮して積算していく。
「本人・薬代」は医療費に該当し、控除対象となる。
対象額 60,000円 …(1)
「本人・外科」は医療費に該当し、控除対象となる。
対象額 70,000円 …(2)
「本人・交通費」は医療費に該当し、控除対象となる。
対象額 7,000円 …(3)
「妻・予防接種」は医療費に該当せず、控除対象とならない。
※健康増進のためのサプリメント費用や予防接種は控除対象医療費とならない。
「長男・検査料」は医療費に該当せず、控除対象とならない。
※人間ドック、健康診断の費用は控除対象医療費とならない。ただし、重大な疾病が発見され治療をした場合は対象となる。
「長女・歯科」は医療費に該当し、控除対象となる。
対象額 8,000円 …(4)
控除対象となる医療費を合計する。
(1) + (2) + (3) + (4) = 145,000円
「（総所得金額等）× 5%」と「100,000円」のうち少ない方の金額を自己負担分とする。
7,000,000円 × 5% = 350,000円（ > 100,000円 ）より、自己負担分は 100,000円 となる。
（控除対象医療費）－（自己負担分）により、通常の医療費控除額（上限200万円）を計算する。
145,000円 - 100,000円 = 45,000円。これは上限2,000,000円の範囲内であるから、通常の医療費控除額は 45,000円 となる。
問題に挙げられた支払金額のうち、スイッチOTC医薬品の購入費用を列挙して合計する。
これらにつき、保険による填補はない。購入費の合計は 60,000円 となる。
セルフメディケーション税制における自己負担分は 12,000円 である。
（購入費の合計）－（自己負担分）により、セルフメディケーション税制の医療費控除額（上限88,000円）を計算する。
60,000円 - 12,000円 = 48,000円。これは上限88,000円の範囲内であるから、セルフメディケーション税制の医療費控除額は 48,000円 となる。
通常の医療費控除額とセルフメディケーション税制の医療費控除額を比較し、医療費控除額が多くなるほうを選択する。
45,000円 < 48,000円 より、医療費控除額は 48,000円 となる。