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過去問演習

CFP®資格審査試験 2023年度第2回
金融資産運用設計
問題27

トータルリターン

〈典型問題〉トータルリターン

本問は、国内公募追加型株式投資信託について、収益分配金の受け取りを経た場合の、トータルリターンを計算する問題である。

算出手順表

日付 取引 計算 保有口数 個別元本
2021年
5月10日
購入
100万口
購入額 11,000円 × 100万口 = 1,100,000
手数料 11,000円 × 1.1% × 100万口 = 12,100
100万口 11,000円
2022年
4月20日
受取り
500円
普通分配金 500円 × 100万口 = 50,000円 …税引後 40,000
特別分配金 0円
100万口 11,000円
2023年
4月20日
受取り
300円
普通分配金 200円 × 100万口 = 20,000円 …税引後 16,000
特別分配金 100円 × 100万口 = 10,000
100万口 10,900円

評価金額 10,900円 × 100万口 = 1,090,000円
累計受取分配金額 40,000円 + 16,000円 + 10,000円 = 66,000円
累計売付金額 0円
累計買付金額 1,100,000円 + 12,100円 = 1,112,100円
トータルリターン 1,090,000円 + 66,000円 + 0円 - 1,112,100円 = 43,900円

解説

〔1〕時系列の確認

設問の〈表1〉〈表2〉から、当初購入・収益分配金の受け取りを、起こった順に整理する。

  • 2021年5月10日 100万口を基準価額11,000円で購入
  • 2022年4月20日 収益分配金500円の受け取り
  • 2023年4月20日 収益分配金300円の受け取り

この順に従って、保有口数、受け取った分配金、個別元本の変遷をたどっていく。

〔2〕2021年5月10日の購入

基準価額11,000円で100万口を購入する(購入額1,100,000円、手数料12,100円)。個別元本は当初の基準価額と同じで11,000円となる。

〔3〕2022年4月20日の収益分配金の受け取り

分配金落ち後の基準価額は11,200円であり従前の個別元本(11,000円)を下回らないので、500円の収益分配金はすべて普通分配金となる。
普通分配金は 500円 × 100万口 = 50,000円。
特定口座(源泉徴収選択口座)で保有しているため、普通分配金の受け取りに際しては、合わせて税率20%の所得税・住民税が課される。
税引後の金額は 50,000円 - ( 50,000円 × 20% ) = 40,000円。
特別分配金は 0円。
特別分配金を受け取っていないので、個別元本は11,000円のままである。

〔4〕2023年4月20日の収益分配金の受け取り

分配金落ち後の基準価額は10,900円であり従前の個別元本(11,000円)を100円下回るので、収益分配金のうち100円は特別分配金となり、200円が普通分配金となる。
普通分配金は 200円 × 100万口 = 20,000円。
特定口座(源泉徴収選択口座)で保有しているため、普通分配金の受け取りに際しては、合わせて税率20%の所得税・住民税が課される。
税引後の金額は 20,000円 - ( 20,000円 × 20% ) = 16,000円。
特別分配金は 100円 × 100万口 = 10,000円。特別分配金は非課税である。
個別元本は、特別分配金として受け取った100円の分だけ減少し、11,000円 - 100円 = 10,900円となる。

〔5〕トータルリターン

2023年4月20日を基準日として、トータルリターンの算出に必要な金額を求める。
評価金額は 10,900円 × 100万口 = 1,090,000円 …(1)
収益分配金のうち普通分配金については、税引後の金額を用いる(設問より)。累計受取分配金額は 40,000円 + 16,000円 + 10,000円 = 66,000円 …(2)
売却はしていないため、累計売付金額は 0円 …(3)
累計買付金額は 1,100,000円 + 12,100円 = 1,112,100円 …(4)

設問で与えられた算式にあてはめてトータルリターンを計算する。トータルリターンは (1) + (2) + (3) - (4) = 43,900円

正解 2

最終編集: 2025-06-17