〈典型問題〉医療費控除
医療費控除
〈典型問題〉医療費控除
本問は、所得税の医療費控除の金額を計算する問題である。
内容 | 支払金額 | 控除対象 (生計・時期・医療費) |
保険に よる填補 |
差引額 |
---|---|---|---|---|
妻・2022年の診療費 | 400,000円 | 支払時期非該当 | - | - |
妻・2023年の診療費と出産費 | 900,000円 | ○ | 500,000円 | 400,000円 |
妻・交通費 | 10,000円 | ○ | - | 10,000円 |
410,000円 |
自己負担分 6,000,000円 × 5% = 300,000円( > 100,000円 )より、100,000円
医療費控除 410,000円 - 100,000円 = 310,000円(上限 2,000,000円 の範囲内)
以上より、医療費控除額は 310,000円
医療費控除の控除対象となるかどうかにつき、同一生計要件と支払時期の要件については、先に一括して確認しておく。
同一生計要件(自己または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること)
問題に挙げられた妻は同一生計内にあり、要件を満たしている。
支払時期の要件(その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること)
問題に挙げられた支払金額のうち、2022年中に支払った診療費40万円は、2023年分の所得税にかかる医療費控除の対象とはならない。その他はいずれも当年中に支払ったものであり、要件を満たしている。
医療費の内容を列挙する。備考欄だけに記載されている項目や、内訳が示されているものに注意して、検討するべき項目ごとに切り分ける。
これらの項目を、それぞれ控除対象の該当性と保険による填補額を考慮して積算していく。
「妻・2022年の診療費」は支払時期の要件を満たさず、控除対象とならない。
「妻・2023年の診療費と出産費」は医療費に該当し、控除対象となる。「出産育児一時金」の500,000円が保険で填補された金額にあたり、これを差し引く。出産手当金と祝い金は差し引かない。
※傷病手当金、出産手当金、見舞金等は、保険金などで補填される金額には含まれない。
対象額 900,000円 - 500,000円 = 400,000円 …(1)
「妻・交通費」は医療費に該当し、控除対象となる。
※病状により公共交通機関での通院が困難な場合のタクシー代は、控除対象に含まれる。
対象額 10,000円 …(2)
控除対象となる医療費を合計する。
(1) + (2) = 410,000円
「(総所得金額等)× 5%」と「100,000円」のうち少ない方の金額を自己負担分とする。
6,000,000円 × 5% = 300,000円( > 100,000円 )より、自己負担分は 100,000円 となる。
(控除対象医療費)-(自己負担分)により、通常の医療費控除額(上限200万円)を計算する。
410,000円 - 100,000円 = 310,000円。これは上限2,000,000円の範囲内であるから、通常の医療費控除額は 310,000円 となる。